2026.07.23
鋼材の種類と選び方|SS400・S45C・SCM435・SK材・SUSの特徴をわかりやすく解説
はじめに
「SS400とS45Cの違いは何ですか?」
「図面にSCM435と書いてあるけれど、どんな材料なの?」
「強い材料を選べば間違いないの?」
初めて機械部品や治具、設備を製作する方から、このようなご相談をいただくことがあります。
鋼材にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。しかし、「一番硬い材料」や「一番高価な材料」が必ずしも最適とは限りません。
材料選びで大切なのは、使用する場所や目的に合った鋼材を選ぶことです。
この記事では、工場や機械加工の現場でよく使われる鋼材を、初めての方でも理解しやすいように解説します。
鋼材とは?
鋼材とは、鉄を主成分とした金属材料の総称です。
炭素やクロム、モリブデン、ニッケルなどの元素を加えることで、強度や硬さ、錆びにくさなどの性能が変わります。
そのため、「鉄なら全部同じ」というわけではありません。
例えば、
- 建物の骨組み
- 工作機械
- 自動車
- ロボット
- 食品機械
- 医療機器
など、それぞれの用途に応じて最適な材料が選ばれています。
材料選びで最も大切なのは「用途」
材料選定では、次のような点を考えることが重要です。
- 強度はどれくらい必要か
- 摩耗しやすい部品か
- 衝撃が加わるか
- 錆びる環境で使うか
- 溶接するか
- コストを抑えたいか
これらの条件によって、最適な鋼材は変わります。
SS400とは?最も身近な構造用鋼
SS400は、日本で最も流通量が多い鋼材の一つです。
「一般構造用圧延鋼材」と呼ばれ、建築や産業機械など幅広い分野で使用されています。
特徴
- 安価で入手しやすい
- 加工しやすい
- 溶接性が良い
- 曲げ加工もしやすい
そのため、機械の架台やフレーム、ブラケット、ベースプレートなどに多く使用されています。
注意点
SS400は焼入れによって硬くすることができません。
また、表面処理をしないと錆びやすいため、屋外や水回りでは塗装やメッキなどの防錆処理が必要になります。
S45Cとは?機械部品の定番材料
S45Cは「機械構造用炭素鋼」と呼ばれる鋼材です。
炭素を約0.45%含んでいることから、この名前が付いています。
機械加工の現場では非常に使用頻度が高く、「迷ったらS45C」と言われるほど代表的な材料です。
特徴
- SS400より強度が高い
- 焼入れ・焼戻しが可能
- 摩耗に強い
- 加工性が良い
主な用途
- シャフト
- 歯車
- 治具
- ローラー
- 機械部品全般
強度と加工性のバランスが良いため、多くの機械メーカーで採用されています。
SCM435とは?高い強度が必要な部品に
SCM435はクロムモリブデン鋼と呼ばれる合金鋼です。
クロムとモリブデンを加えることで、焼入れ後に高い強度と粘り強さを発揮します。
特徴
- 非常に高い強度
- 衝撃に強い
- 疲労に強い
- 焼入れ性が高い
主な用途
- 高強度ボルト
- シャフト
- ギヤ
- 自動車部品
- 建設機械部品
S45Cでは強度が不足する場合に選ばれることが多い材料です。
SK材とは?硬さが求められる工具鋼
SK材は工具鋼の総称です。
焼入れによって非常に硬くなるため、切削工具や金型などに使われます。
主な用途
- パンチ
- ダイ
- 刃物
- ゲージ
- 金型
「硬いほど良い」と思われがちですが、硬くなるほど加工が難しくなるため、用途に応じた選定が必要です。
SUS304とは?錆びにくいステンレス鋼
SUS304は最も一般的なステンレス鋼です。
鉄にクロムやニッケルを加えることで、優れた耐食性を持っています。
特徴
- 錆びにくい
- 衛生的
- 見た目が美しい
- 耐久性が高い
主な用途
- 食品機械
- 医療機器
- キッチン用品
- 屋外設備
- 水回り部品
ただし、鉄鋼材料と比較すると価格が高く、切削加工の難易度も上がります。
「SC」という材料はあるの?
お客様から「SC材でお願いします」と言われることがあります。
実は、「SC」という正式な材料記号はありません。
一般的には、
- S45C
- S50C
- S55C
などの機械構造用炭素鋼を指していることが多いです。
図面や仕様書では正式な材料記号で確認することが大切です。
よく使われる鋼材の比較
| 材料 | 強度 | 加工性 | 焼入れ | 錆びにくさ | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| SS400 | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | × | ★☆☆☆☆ | 架台・フレーム |
| S45C | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ○ | ★☆☆☆☆ | シャフト・治具 |
| SCM435 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | ◎ | ★☆☆☆☆ | 高強度部品 |
| SK材 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ◎ | ★☆☆☆☆ | 金型・工具 |
| SUS304 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | × | ★★★★★ | 食品・医療・屋外設備 |
材料選びで迷ったら、こんな考え方がおすすめです
コストを抑えたい
→ SS400
機械部品として幅広く使いたい
→ S45C
強い衝撃や大きな荷重がかかる
→ SCM435
刃物や金型など硬さが必要
→ SK材
錆びる環境で使用する
→ SUS304
用途によって最適な材料は異なります。材料費だけでなく、加工方法や熱処理、使用環境まで考慮することで、コストと性能のバランスが取れた製品づくりにつながります。
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